近年の契約社員形態
契約社員とは、正社員とは異なった採用条件や労働契約のもと、企業と個人的に雇用契約を結んだ人のことを言います。こうした、個人的に企業と雇用契約を交わして働く形態には、契約社員のほかに、パート、アルバイトがあります。
契約社員は、パートやアルバイトと形態が異なり、仕事としては正社員に近いものがあるため、正社員との違いが何なのか、疑問を感じる人も多くいます。しかし、正社員は、その企業に定年まで雇用される契約を結んでおり、契約社員は、1年程度の契約となっているという違いがあります。パートは時間的契約、アルバイトは給料的契約といった違いがそれぞれにあります。こうした違いを利用して、企業はそれぞれの雇用形態で人材を雇い、コスト、労働力などの面を活性化しています。
しかし、近年において、契約社員という言葉が消えつつあるのも事実です。それは、契約社員に代わる派遣社員が登場したからです。
派遣社員は、今や、聞き慣れた言葉になっているほど、現代社会に定着しています。多くの企業も、派遣社員を取り入れている時代となりました。こうした時代背景から、契約社員は派遣社員に押され、企業も契約社員を雇う傾向が少なくなってきています。
正社員になる方法
契約社員と派遣社員は、業務などにおいて、殆ど変わりがありません。契約社員と派遣社員の違いが明確ではない人も多いでしょう。しかし、契約社員は企業との個人契約であり、派遣社員は派遣会社との契約によって企業へ派遣されているという違いがあります。こうした違いが、正社員へ転職するルートの違いも生みます。
契約社員から正社員へ転職する場合の方法は、企業自体に正社員登用制度が設けられていなければ始まりません。正社員登用制度は、企業が契約社員やパート、アルバイトなどに、正社員になるチャンスを与える目的で行っている制度です。つまり、企業自体が行っているものとなります。一般的には、半年に1度、正社員となる為のテストを実施しています。
しかし、こうしたテストを受けられるのは、契約社員などとして雇用された人材の中の、ほんの一握りの人だと言います。テストを受ける為には、企業が受験を許可する必要があるからです。企業も、必要ではない人材までテストを受けさせる余裕はありません。ですから、この方法で正社員になるという事は、大変厳しい道のりであると言えるでしょう。
派遣社員から正社員への転職は、派遣会社が行っている紹介予定派遣があります。紹介予定派遣は、派遣契約満了時に派遣先の企業との合意で、その企業の正社員としての雇用契約に切り替えを行う制度です。この場合、派遣会社が仲介を行っている為、テストを受けたり、受ける為の許可を得たりする必要はないですが、企業にとって得する人材でなければなりません。決して簡単な道ではないと言えるでしょう。
最短ルート
契約社員と派遣社員と、正社員への道は異なります。では、どちらが最短ルートと言えるのでしょうか。
契約社員では、企業と直接契約をしている事から、働きぶりに対する評価は、企業が直接採点する事になります。ですから、企業に認められれば、正社員への転職は、契約社員からが最短ルートと言えます。しかし、企業に認められる為には、企業にとって必要な人材でなければなりません。つまり、企業が必要としているスキルや能力、資格などを保有している事、仕事における態度が優れている事など、企業受けするものを持っている必要があるのです。そういった点で言うならば、こうした条件を満たしていなければ、困難なルートとなるでしょう。
そういった点をカバーしてくれるのが、派遣社員からの転職です。派遣社員から正社員へ転職する場合には、派遣会社という後ろ盾がありますから、スキルにおいても、資格においても、派遣会社が足りない部分をサポートしてくれます。どういった資格が有利になるのか、契約社員では見つけ難い所を、派遣社員では、派遣会社が指導してくれるため、必要なスキルをアップさせる事が可能になります。また、企業へのアピールを自分でするよりも、派遣のプロがアピールしてくれる方が、説得力も増します。そういった点で言えば、派遣社員からの転職が最短ルートとなるでしょう。しかし、派遣社員が正社員として雇用契約を交わす際、企業は、紹介料を派遣会社に払わなければなりません。その紹介料を嫌って、紹介予定派遣を受け入れていても、正社員への合意を得られない場合もあるという事です。そういった企業へ正社員希望をしていたとしたら、紹介予定派遣も、決して最短ルートとは言えなくなるでしょう。
正社員になるために必要なこと
正社員へ転職する為には、まず、企業に対して必要な人材になる事だと言えるでしょう。そうなる為には、スキルや資格を身に付け、仕事仲間に対しての態度も優れたものになるよう、コミュニケーション能力やビジネスマナー、接し方などを身に付ける必要があるでしょう。
更に、派遣社員の場合には、紹介予定派遣やその他の正社員転職のチャンスにおいて、正社員へ転職する成功率の高い派遣会社を見つける事が大切ですし、契約社員においては、正社員登用制度を積極的に行っている企業を見つける事が必要となります。
こうした条件を満たした時、正社員へ転職する最短ルートが見えてくるのではないでしょうか。
情報収集
契約社員から目指す場合には、正社員登用制度を行っている企業の求人が必要です。また、中途採用は、殆どの場合で正社員を見越しての採用となっている為、中途採用を盛んに行っている企業は、正社員への転職確立が高いという事です。そういった企業求人を探すと良いでしょう。
派遣会社から目指す場合には、紹介予定派遣を行っている派遣会社へ登録することが必要です。紹介予定派遣に強い派遣会社は、リクルートスタッフィング、アデコ、インテリジェンス、スタッフサービスとなっています。また、派遣会社には、中途採用における派遣も行っており、こうした派遣から正社員を目指す方法もあります。第2新卒に強い派遣会社は、リクルートスタッフィング、アデコ、テンプスタッフとなっています。
更に、派遣会社においては、企業から内密に正社員を見越しての派遣を行っている場合もある為、カウンセリングの際に、そういった事項も確認しておくと良いでしょう。